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(24-09-2011@Fuchu, Tokyo, Japan)
日本と海外(パキスタンほか)で考古学しつつの日々のできごと。パキスタンの調査については左コラムのリンクへ
Essays on random themes of archaeological work or daily life...
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2012-08-28

Buddhism arts and sites in Pakistan/ パキスタンの仏教遺跡

The 1st international conference on 'Rediscovering Silk Route' is held in Hazara University at Mashera, Khyber Pakhtunkhwa, Pakistan on 5th-7th September 2012. The five days cultural study tour of Silk Route (Mansehra to China) is held on 8th -13th September 2012, following the conference.
As well-known, northern part of Pakistan is very rich in Buddhism heritage, including 2 UNESCO World Heritage site such as Taxila, and Buddhist Ruins of Takht-i-Bahi and Neighbouring City Remains at Sahr-i-Bahlol. These sites are studied and conserved by many Pakistani scholars.
Since 2001, destruction of Bamiyan Great Buddhas, most of non-Islamic people consider that the context of the case is very religious and fanatic. However it is imprudent.
If you visit a Buddhist site in Khyber Pakhtunkhwa, you can see many local people also visit the site. There are teachers and students of Madrasah in Buddhism arts section of local museum. All they are Muslim, and almost are Pashtun, which Taliban movement is originated from. But they, Pashtun ordinary people respect those Buddhism sites and arts as common heritage of human, as well as 'Western People' does (as they believed so). And there are many Pashtun scholars those engaging study and conservation of Buddhism heritage.
We must know and support their effort. If you say 'Muslim is barbarian, because they want to destroy heritage of other religions', it would encourage only people those want to make dissension in the world.
I pray for the success of the conference.
(images from top to bottom: Bhir mound in Taxila; Takht-i-Bhai Buddhism monastery; Ashokan Inscriptions at Shahbaz Garhi; Pashtun father and boy in Peshawar Museum)


(写真上から、タキシラ・ビールマウンドの都市遺跡(アケメネス朝~マウリヤ朝):世界遺産、タフティ・バーイの仏教寺院遺跡(紀元前1~紀元後7世紀):世界遺産、シャーバーズ・ガリのアショカ王碑文(紀元前3世紀)、ペシャワール博物館の仏教美術展示室のパシュトゥー人の親子)

来る9月5日~7日、パキスタン、ハイバル・パフトゥンフワ州マンシェーラに所在するハザラ大学(Hazara University)で、”Rediscovering Silk Route:シルク・ルートの再発見”と題した国際会議の第1回目が開催されるそうです。主催は同大学考古学研究室ですが、考古学者だけでなく、歴史学者、哲学者など関連分野の研究者にも参加を呼びかけています。また国際会議の日程に続けて、9月8日~13日には「マンシェーラから中国まで」と題したツアーが催行されるそうです。
 ハザラ大学は2006年に設立した新しい大学で、考古学研究室は、アート・デザイン、建築学、保存学、観光学などの研究室とともに文化遺産・創造的科学部(School of Cultural Heritage and Creative Sciences)に所属するという興味深い組織になっています。海外への留学など、熱心な若手研究者が多いようですね。パキスタンにおける、あらたな仏教美術・遺跡研究の拠点たろうとする意欲が伝わってきます。
 
 ところで、昨今のニュースの影響で、パキスタンと言えばイスラムの国、それもテロが頻発する過激派・原理主義の国と言うイメージが強いと思いますが、イスラム到来以前に栄えた仏教文化・美術の遺跡も多く残されています。そのうち2つは、ユネスコの世界文化遺産に登録されています。
 それらの遺跡の多くは、首都イスラマバードの西~西北のハイバル・パフトゥンフワ州(旧・北西辺境州)に残されています。ハイバル・パフトゥンフワ州は、イギリスの植民地支配に果敢に抵抗したことで知られるパシュトー(パクトー)人が多数派を占めています。パシュトー人は、国境を接するアフガニスタンでも主要な民族です。熱心なイスラム教徒で、タリバンはパシュトー人の宗教運動から成立しました。
 そのタリバンが、アフガニスタン・バーミヤンの仏教遺跡を爆破したことは、あまりにも衝撃的なニュースとして全世界を駆け巡りました。アル・カイダによる連続航空機テロの半年前のできごとです。そして2009年にも、今度はパキスタンのスワート地方で、一帯の支配権を一時的に握ったローカル・タリバンが仏像を爆破すると言う事件が起きています。一連のニュースは、イスラム過激派の他宗教への不寛容さや、文化遺産までをもテロの対象とする「野蛮さ」を示すものとして受け止められました。政治的、社会的、文化的背景に詳しくない人びとには、イスラム教徒やアフガニスタン、パキスタン人一般が、こうした行為を指示しているという印象を植えつけたのではないかと思います(残念ですが そういった言説をいまだに見聞します)。
 しかし文化財に対するテロは決して宗教的動機によるものではなく、示威行為の対象として狙いやすい「ソフト・ターゲット」として選ばれていると考えるべきでしょう。つまり、きわめて政治的な動機によるものなのです。
 逆に、現地に暮らすパシュトー人たちは、イスラムへの信仰と他宗教に基盤を持つ文化遺産への敬意を矛盾なく両立させているように見受けられます。先述のハザラ大学だけでなく、パキスタンの各大学や博物館には、仏教美術や遺跡を専門とする研究者が多数いて、海外からの援助、協力が滞りがちな状況にあっても自分たち自身で文化遺産の保護や修復に取り組んでいます。
 保存された仏教寺院の遺跡は、現地に暮らす人たちのハイキングや小旅行の対象になっています。博物館に展示されている多数の仏像を見学する、マドラサ(宗教学校)の一行と出会ったこともあります(引率するムッラーにミニ宗教論争をふっかけられ、仏教は仏典も仏像も何種類もあるということを聞き出すと、だからダメなんだ、と勝ち誇られましたが...)。
 でも、周囲がみな色眼鏡で見るようになれば、現地でも反発する感情が膨らむばかりで、研究者たちの努力も水泡に帰してしまうでしょう。
 パシュトー人たちはとても気高い民族なので、賞賛を得られれば無償の努力も惜しまないでしょう。でも逆に、いつまでも野蛮なテロリストとレッテルを貼られ続ければ... 

 国際会議の成功を祈念するとともに、情報が入り次第、その様子をお伝えできればと思います。


図説 ガンダーラ―異文化交流地域の生活と風俗
F.ティッソ著/東京美術
ISBN978-4808706050

愛しき仏像―ガンダーラ仏の不思議
宮治 昭著/講談社選書メチエ
ISBN978-4062580908

大仏破壊-ビン・ラディン9・11へのプレリュード
高木 徹著/文藝春秋
ISBN978-4167717216

アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない恥辱のあまり崩れ落ちたのだ
M.マフマルバフ著/現代企画室
ISBN978-4773801125

バーミヤン写真報告2002
中 淳 写真・著/東方出版

〈図説〉蘇るバーミヤーン―アフガニスタンに刻まれた不滅の文化遺産
樋口隆康著/同朋舎メディアプラン
ISBN978-4901339735

バーミヤーン、遙かなり―失われた仏教美術の世界
宮治 昭著/NHKブックス
ISBN978-4140019337

アフガニスタンの仏教遺跡バーミヤン
前田耕作著/昭文社
ISBN978-4794965158

アフガニスタン史
前田耕作・山根聡著/河出書房新社
ISBN978-4309223926

アフガニスタン-戦乱の現代史
渡辺光一著/岩波新書
ISBN978-4004308287

カンダハール
M.マフマルバフ監督/ブロードウェイ

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